【平成から令和へ】 – 2019年を知る①

新元号「令和」

天皇陛下が国民に向けたメッセージで、生きている間に皇太子さまに位を譲ることを願うお気持ちを表明したのは2016年のこと。これを受けて、退位を実現するために皇室典範の改正が検討されましたが、一代に限り退位を認める特例法(特別な法律)を制定することで退位が実現することになりました。

皇室典範:皇室に関する基本的なことを定めた法律。皇位継承や、天皇・皇族の身分などについて定めているが、退位の規定はないため、今回退位について議論されることになった。結果、皇室典範には手をつけないまま、特例法によって対処することになった。

新元号を発表する菅義偉(すがよしひで)官房長官。

 その後、政府は2019年4月30日に天皇陛下が退位し、翌5月1日に皇太子さまが新しい天皇に即位して、同時に元号も「平成」から新しいものにすると発表しました。これを受けて2019年4月1日、新元号を「令和」にすることが発表されました。令和は「万葉集」のこんな一節からとったものです。

「初春の令月にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かお)らす」

万葉集:8世紀後半(奈良時代)にまとめられた日本最古の和歌集。大伴家持がまとめたとされる。感じの音訓を組み合わせて日本語を表記する「万葉仮名」が使われた。天皇、貴族、防人、農民らの歌4500首ほどが収められている。

安倍晋三首相は、談話でこうコメントしました。

春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりが明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込め、決定した。 (日本経済新聞2019年4月2日の記事より)

これまでの元号は、確認できる限り全て中国の古典から引用されてきましたが、今回初めて、日本の古典からの引用となりました。

天皇って何をしてるの??

明治時代に定められた大日本帝国憲法の下では、政治のあり方を最終的に決める主権者は天皇でした(天皇主権)。しかし、第二次世界大戦後の1947年に施行された(公布は1946年)日本国憲法で、主権者は国民となり(国民主権)、天皇は日本の国と、国民統合の「象徴」となりました。これにより、天皇は国の政治を行う権限を持たず、憲法で定められた仕事は国会の招集や栄典の授与などの形式的・儀礼的な国事行為に限る、とされました。

その他にも、象徴としての地位に基づいて行われる公的行為(海外の要人との会見など)も、天皇の仕事として行われています。

第一条> 天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって、この地位は主権の存する日本国民の総意に基づく。

<第二条> 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

<第四条> 天皇はこの憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。

▲ 大日本帝国憲法と日本国憲法の比較

皇室はこれからどうなるの?

2019年4月30日、天皇陛下の退位の儀式が行われ、翌5月1日、皇太子であった徳仁(なるひと)様が第126代天皇として即位されました。天皇の退位は、江戸時代だった1817年、光格天皇以来200年ぶりのことで、憲政史上(大日本帝国憲法が定められてから)初めてのことでした。退位した天皇陛下は上皇となり、皇后さまは上皇后となりました。また皇位継承順位第1位の皇族(皇嗣こうし)は秋篠宮さまとなりました。

「即位後朝見の儀」でお言葉を述べられる天皇陛下=5月1日午前11時15分、宮殿・松の間(日本経済新聞, 6月20日の記事より)

 2019年12月現在、皇室は18人で構成されています。しかし、皇室典範の規定で女性は天皇になれないため、天皇になる資格があるのは男性3人のみとなりました。また、女性の皇族が一般人と結婚した場合、皇族からは抜けなくてはならないため、皇族が少なくなることが予想されています。これらの事情から、女性天皇や女系天皇を認めようという意見や、女性が結婚したのちも皇族に残れるように「女性宮家」を作ろうという意見もあります。

*女性天皇は女性の天皇のこと、女系天皇は女性天皇の血筋である天皇のこと。例えば、女性天皇から生まれた女性が天皇に即位した場合は女系天皇となる。2019年12月現在、女性天皇も女系天皇も認められていない。