

アベノミクスってなに?
アベノミクスは、2012年12月から、安倍晋三内閣が進める経済政策のこと。安倍首相は、長引く景気低迷の最大の要因をデフレーションであるとして、「大胆な金融緩和」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の3つの経済政策(3本の矢)によってデフレから脱却し、景気を回復させることを最優先の目標として掲げました。安倍首相は、これら3つの政策によって、企業の経営をよくし、賃金を増やして個人の消費を増やし、そうすれば、物価が上昇しデフレから抜け出せると言います。

物価が継続的に下落し、貨幣価値が上がることをデフレーションと言います。デフレになると、図のように4つの現象が起こり、不景気(不況)から抜け出せなくなることがあります。この悪循環がデフレスパイラルです。
日本銀行(日本の中央銀行)もアベノミクスに協力するため、2013年に物価上昇率2%を目標として、これまでにない異次元の金融緩和を始めました。また、2016年には世の中に出回るお金を増やして景気を回復させるため、初めてマイナス金利を導入しました。
アベノミクスは本当に効果的なの?
アベノミクスによって、為替相場(ある国の通貨と他の国の通過を交換する際の交換比率)は2012年に1ドル77円まで高くなった円が円安に転じ、2019年12月現在、108円ほどで推移しています。円安になったことで、日本からの輸出品の売れ行きがよくなり、輸出によって利益を得ている自動車や電気機器などの製造業の業績が回復しました。また、一時7千円台まで落ち込んだ日経平均株価は2万円台に回復しています。この結果、雇用状態は改善し、完全失業率は2.2%と低く、大卒者の就職率は97.6%と高水準を記録しました。
しかし、国民の景気回復の実感はともなっていないようです。個人消費は増えず、物価上昇率2%の目標にも届いていません。これは賃金が伸び悩んでいることや、将来への不安から人々がお金を貯蓄に回していることなどが原因と考えられています。また、これまでの景気拡大期に比べて実質国内総生産(GDP)の伸び率が低いことを指摘する声もあります。
景気って、どう動くの?
景気とは、世の中の経済の状況のこと。経済活動が活発な好景気(好況)と、経済活動が振るわない不景気(不況)が交互に繰り返されます。これを景気変動(景気循環)と言います。日本ではアベノミクスが始まって以来、景気拡大期間が続いていると言えます。しかし、米中貿易戦争や、イギリスのEU離脱などの国際情勢、10月に行われた消費税率引き上げなど不安要素も多く、景気の悪化が心配されています。