労働観が自己中心的な視点で捉えられてきたのは、豊かさを追い求めてきた戦後日本社会の傾向だと言える。戦後、経済的に厳しい環境に置かれた日本では、経済発展を望む機運が高まった。その結果、高度経済成長期を経て、大量生産・大量消費の社会構造を築き上げ、経済発展を遂げた。それと共に、多くの国民が経済的な豊かさを教授し、「総中流時代」を迎えた。
労働が、自己の生活を豊かにする手段として位置づけられた背景には、精神的な豊かさを得るために自分の望むことができる生活を求める傾向が見られるようになった社会状況があると考えられる。