【労働観とは】小論文攻略-1

【労働の必要性】

労働は自己実現のために必要である。労働を通して私たちは、

① 賃金や報酬といった金銭的な要素

② 精神的な充足感や技能

を得ることができる。

 金銭は、私たちが日々の生活をするため、またより豊かな生活をするため必要な趣味や嗜好を満たすために欠かせない。

 また、労働の中で工夫や努力を重ね、自らの能力を試すことの他、時には同僚や上司、顧客からの反応を得たり、指摘を受けたりすることを通して、達成感や満足感を得ることができる。さらに、技術や職能を手に入れることを通して、自らが望む自己像に近づいていく。

【背景にあるもの】

労働観が自己中心的な視点で捉えられてきたのは、豊かさを追い求めてきた戦後日本社会の傾向だと言える。戦後、経済的に厳しい環境に置かれた日本では、経済発展を望む機運が高まった。その結果、高度経済成長期を経て、大量生産・大量消費の社会構造を築き上げ、経済発展を遂げた。それと共に、多くの国民が経済的な豊かさを教授し「総中流時代」を迎えた。

 労働が、自己の生活を豊かにする手段として位置づけられた背景には、精神的な豊かさを得るために自分の望むことができる生活を求める傾向が見られるようになった社会状況があると考えられる。

【求められる視点】

労働は豊かさを享受するための手段であるという側面は確かに受け入れられるが、社会への貢献、他者のため、という側面が見落とされている。労働は、「他人のために自分の力を用いるもの」という意義も忘れてはならない。

 労働には、社会や他人に対して、商品やサービスを提供するという役割もある。私たちは、労働を通して社会や他者に貢献し、その見返りとして金銭や精神的な喜びという報酬を得ることができる。労働は、自己実現のために必要であるとともに、自分に備わった力を社会や他者の豊かさのためにささげる行為ともいえる。

 労働は、自分の生活はもちろんのこと、社会をも豊かにするための手段である。